カプコン公式設定・開発秘話 センチネルナイン徹底解明

7 カスタム分析(2) マズルのコントロールと操作性

9mmパラベラム弾でバイオテロに挑む

「センチネル ナイン」で使用する9mmパラベラム弾は、世界で普及している「最も入手しやすい弾薬」の1つだ。
単発ではデザートイーグルが使用するマグナム弾にパワーで劣るものの、9mmパラベラム弾にはそれを補うだけの利点がある。それは「反動が小さい」こと、そして弾のサイズ(径)が小さいため「マガジン装弾数が多い」ことだ。反動が小さければ立て続けに発射しても銃口の向きをコントロールしやすく、2発目以後もヒットが狙える。
クリーチャーやB.O.W.の弱点へ複数の弾を撃ち込むことができれば、9mmパラベラム弾であっても大きなダメージが期待できるだろう。DSOエージェントの技量と「センチネル ナイン」の性能をもってすれば、マグナム弾以上の効果が望めるのだ。

9mmパラベラム弾
「パラベラム」という名前はラテン語の「平和を欲するならば戦いに備えよ」という格言が由来であり、「戦うことで平和を手に入れる」というDSOのモットーと通じるところがある。

レオン

弱点への正確な射撃と、反動の制御

銃は、狙いが正確ならば弾も狙いどおり当たるというものではない。「トリガーを引いて弾が発射される」という所作の中には、トリガー操作時の手元のブレ、発射時の大きな反動やマズルフラッシュなど、命中率の低下を招く要素が多くひそんでいる。
クリーチャーやB.O.W.の弱点へと何発もの弾を命中させるために、射手の技術だけではカバーしきれない部分を「センチネル ナイン」では次のように補っている。

フラッシュハイダーとロングバレル
ハイブリットグリップ
Bトリガー
Bトリガーのトリガーポジション
(A)がハンマーダウン状態のダブルアクション時、(B)がハンマーを起こしたシングルアクション時のトリガー位置だ。シングルアクション時の方がトリガーが軽く、トリガーを引く距離も短い。
※1・限定品「センチネルナイン レオンモデル」のバレルのネジ部は、付属のフラッシュハイダー専用です。別売のサイレンサー等は取り付けることができません。

フラッシュハイダーとロングバレル

「センチネル ナイン」のバレルは、「P226E2」のそれよりも約10mmほど長い。バレル長を伸ばすことで発射した弾の弾道がより安定するほか、先端にネジ切り加工を施したことで、サイレンサーなどが容易に装着できる(※1)。
このネジ部には、マズルフラッシュをおさえるための「フラッシュハイダー」が標準装備となっている。前方のストライクフェイス風のスパイク形状は、マズルフラッシュの拡散をおさえるよう設計されたものだ。
また、側面のポート(穴)は発射ガスを逃がすためのもので、吹き出したガスが、反動ではね上がる銃口をおさえつける効果がある。

ハイブリットグリップ

9mmパラベラム弾のパワーがマグナム弾に劣るとはいえ、発射された弾には十分な攻撃力があり、それを撃ち出す際の反動も人間の力で楽に抑えこめるほど小さくはない。
反動で暴れる銃を両手でしっかりとホールドするために、「センチネル ナイン」ではグリップの握りやすさやフィット感を追求。丸みや角度の違いを徹底的に研究した結果、たどり着いたのがこの「ハイブリットグリップ」である。
右手での使用を想定したサムレストや片側のみのDSOメダリオン、よりすべりにくくするためのラバー塗装仕上げなど、グリップに込められた様々なこだわりが完璧なホールド性を発揮する。

Bトリガー

「センチネル ナイン」のトリガーは、スペルの「B」に似ていることから「Bトリガー」と呼ばれている。ハンドガンのトリガー形状は様々だが、Bトリガーは特にユニークなデザインだろう。
「センチネル ナイン」は、緊急時にも即座に反応できるシングルアクションでの使用を前提としており、シングルアクション時のトリガーは(B)の位置になる。トリガー前面(指にふれる部分)がフラットになっているのは、(B)の位置からトリガーを引く際に、指の力をムダなくトリガーへ伝えるためだ。
トリガーを引く指に余計な力が入れば、それだけ銃口もぶれやすくなる。スムーズに引けるトリガーは、精密射撃の重要なファクターなのだ。

また、Bトリガーには2つの穴を空けて肉抜き加工がされている。
発射後にトリガーが(B)の位置へと戻る際、肉抜きをして軽くなったトリガーの方が戻りが早い。見た目には分からないほどのわずかな差だが、指先の神経はトリガーが戻る早さの差を敏感に感じ取り、戻りが遅ければ違和感となって射手に伝わる。特に何度もトリガーを引いて速射(間をおかず連続で発射)する場合、トリガーに違和感があれば、それは射手にとって大きなストレスとなるだろう。

ロングマガジン
マガジンキャッチ

装弾数アップと、スムーズなマガジンチェンジ

9mmパラベラム弾を使用する場合、DSOはクリーチャーやB.O.W.に対して速射での攻撃を有効としているが、それはつまり弾の消費も多くなるということだ。
銃にセットしたマガジンが空になれば、マガジンを交換する間は無防備になってしまう。しかし、マガジンの弾数をなるべく多くすることでマガジンチェンジの回数を減らし、さらにマガジンを迅速かつスムーズに交換できれば、その隙を小さくすることが可能だろう。

ロングマガジン

「センチネル ナイン」で採用しているロングマガジンの装弾数は20発。これは通常のP226E2用マガジンよりも5発多く、その分マガジンも長い。
「SEALsマガジン」とも呼ばれるこのマガジンは、ボトム部分を鉄板で補強しているため重量もある。マガジンキャッチを押せば自重で落下しやすく、効率的にマガジンチェンジが行なえるのだ。

マガジンキャッチ

いかなる状況でも確実にマガジンを交換できるよう、スクエアタイプの大型マガジンキャッチを採用。大型で押しやすくなっているが、「センチネル ナイン」を扱ううえでジャマにならないようデザインされている。

ガンケース

FBCが進めていたセンチネル・プロジェクトをDSOが復活させ、ついに対バイオテロ専用ハンドガン「センチネル ナイン」が誕生した。
DSOではまず数挺のみ生産し、センチネル・プロジェクトのスーパーバイザーであるレオンの手で実戦データを収集、そのフィードバックを反映してから本格的な生産を行なう予定であった。
しかし2013年、レオンが「センチネル ナイン」を手にする前に、アメリカのトールオークスで大規模なバイオテロ事件が発生してしまう。
事件解決後にようやくレオンの手にわたったものの、いまだ実戦データの収集は完了していない。「センチネル ナイン」の本格的な生産、そしてDSOエージェントたちへの正式な支給時期も未定のままとなっている。

ガンケース

「センチネル ナイン」を収めるガンケースもDSOから支給されたものだ。衝撃吸収性にすぐれた高強度ポリマーで作られており、たとえ上空から投下したり戦車でふみ付けても、中に収納した銃には影響が出ない強靭なケースとなっている。
ケース上面には、DSOからの支給品であることを証明するDSOエンブレムとシリアルNo.、そしてモデル名などが表示されている。

※ 設定・画像協力:株式会社カプコン

※ この設定はゲーム「バイオハザード」シリーズの世界観をもとにしたフィクションです。実在の人物、団体、事件等とは一切関係ありません。

— 東京マルイ広報に聞く トリガーデザインの変遷

「センチネルナイン レオンモデル」の中でも特に目を引くのが、ユニークな形をしたシルバーのトリガーだと思います。真横から見ると「B」の文字に似ているので「Bトリガー」と名付けました。
「BIOHAZARD」の「B」かと聞かれることが多いのですが、その辺は全く意図していませんでした。下のトリガーデザインの変化を見ていただければ分かるかと思いますが、部分部分のアイデアを取り入れていくうちに、気付けば「B」になっていたというのが正直なところです。

  • トリガーデザインの変遷
    初期のラフ案ではダブルアクションを重視したトリガーデザインだった。トリガー後部にBトリガーらしい面影がある。
  • トリガーデザインの変遷
    トリガー前面がラウンド状のデザインになっている。2つの穴はトリガー外装をカバーのように追加するためのもの。
  • トリガーデザインの変遷
    試作品を作成する時点で、トリガー前面がフラットになり、シングルアクション向きのデザインへ変更している。
  • トリガーデザインの変遷
    操作性に細かい微調整を加えた最終型。トリガーがシルバーになり、より目を引くようになった。

トリガー後部のジグザグ形状は初期のラフ案から受け継いでおり、2つの肉抜きはまだダブルアクション前提でデザインしていた頃の、六角ネジ用の穴から変化したものです。元々はこの穴を使って、カスタムトリガーをモナカのように装着するというアイデアでした。

その後シングルアクション前提でデザインすることになり、トリガー前面をフラットにした「Bトリガー」が誕生します。しかし、いざ試作品としてカタチにした時に、そのままのデザインでは作動不良を起こすことが判明しました。トリガーがフレームに当たってしまったり、トリガーの移動距離が足りなくて発射できなかったり…、デザインは開発の早い段階で決まったものの、その後の調整ではかなり苦労をしましたね。
トリガー、特にシングルアクション時のトリガーポジションについては、カプコンの竹内常務がかなりこだわっていた部分です。トリガーは引き始めの位置や角度が少し違うだけで感触がかなり変わりますから、試作品を作っては感触を確かめるということを繰り返し、時間をかけて調整していきました。
構造の関係で竹内常務が求める100%は実現できませんでしたが、及第点は取れたのではと自負しています。

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