カプコン公式設定・開発秘話 センチネルナイン徹底解明

2 状況分析、3つのキーワード、そしてベースガンの選定

バイオテロがもたらす特殊な状況とは?

通常の装備開発とは異なり、対バイオテロ装備の開発では「ウィルスに感染した生物が変異したクリーチャーや、意図的に生み出されたB.O.W.(生物兵器)との対峙」、そして「バイオテロによってライフラインや後方支援が麻痺した環境」といった過酷な状況も想定しなければならない。

バイオテロがもたらす特殊な状況とは?

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クリーチャーやB.O.W.の中には、驚異的なパワーや運動能力をもつもの、銃弾すら防ぎうる硬質な外皮で覆われているもの、人体や物質を害する体液で攻撃してくるものも多く、いずれも人間に対して非常に攻撃的だ。
また、バイオテロの恐怖と混乱にのまれた地域では、クリーチャーやB.O.W.による破壊もあいまってライフラインや交通機能にも被害がおよぶだろう。対バイオテロ組織の一員として行動していても、弾薬の補給といった後方支援がままならない事も多い。
目的地への予定ルートがふさがれ、照明のない暗く狭い道を手探りで進む。そんな状況でもクリーチャーやB.O.W.は容赦なく襲いかかるのだ。

こうした状況をふまえ、センチネル・プロジェクトのスーパーバイザーとなったレオンは、対バイオテロ装備開発の指針となる「3つのキーワード」をDSOへと提示している。

「汎用性、確実性、安定性」という基軸

DSOエージェントのための対バイオテロ専用ハンドガンを開発するにあたって、まずはベースとなる銃の選定が行なわれた。そのための基準となったのが、レオンの提示する「汎用性」「確実性」「安定性」という3つのキーワードだ。

  • 汎用性

    汎用、つまり「広く用いる(用いられる)こと」だが、ここでは「作戦行動中に弾薬を補給しやすいこと」を指している。
    硬質な外皮と耐久力の高さをもつクリーチャーやB.O.W.に対してはパワーのある「マグナム弾」が有効だが、この弾薬は決して一般的に普及しているとは言いがたいため、後方支援以外での弾薬の確保が非常に難しい。
    そのため、普及率が高く、どの現場でも弾薬の補給が比較的容易な「9mmパラベラム弾」を使用できるハンドガンに的をしぼることとなった。9mmパラベラム弾であれば街中のガンショップはもちろん、護身用のハンドガンを用意している一般家庭でも見つけることができる。

  • 確実性

    「どんな状況でも確実に作動すること」は、戦闘用の装備を開発するうえで最も重視されるポイントだ。現場で万が一という事態は絶対に起こってはならない。ジャム(弾づまり)といった作動不良は、そのまま命のキケンへとつながってしまうだろう。
    通常、ハンドガンの開発では天候や環境の変化への配慮がされている。
    内部に入り込むホコリや砂、極端な高温・低温によるパーツの変形と破損、雨や海水によるサビ。こういったものが引き起こす作動不良を防ぐために、銃の構造や素材、表面加工に様々な工夫が施されているのだ。
    だが、対バイオテロを考慮するとこれだけでは足りない。
    レオン自身も経験しているが、クリーチャーやB.O.W.は強力な酸に似た体液を噴射することがある。そのため、特に素材や表面加工については専用の対策を考える必要がある。

  • 安定性

    アサルトライフルやサブマシンガンよりはるかに小型で軽く、構えながらでもすばやい行動が可能なハンドガンは、ターゲットと近距離で対峙する場合に用いられることが多い。
    近距離での戦いでは「早く、正確に目標にヒットさせる」ことが重要だ。クリーチャーやB.O.W.の中には、数メートルの距離を一気に詰めて攻撃してくるものもいる。バイオテロの現場では、1発を外すことは身をキケンにさらすことに他ならないのだ。
    銃のトリガーやレバー類をストレスなく操作することは「早さ」につながる。また、照準の合わせやすさや命中精度、特に銃をにぎって構えた時の安定感が「正確さ」のポイントであり、手になじむグリップは欠かせないとレオンは主張している。
    射手の理想を反映した銃は、エージェントにとって相棒とも言うべき存在だ。レオンは、そういった銃への絶大な信頼感こそが、精神的に極限状態へと追い込まれた状況で心の安定をもたらすとも語っている。

  • 「汎用性、確実性、安定性」という基軸
●P226E2

「SIG P226E2」という選択

「汎用性」「確実性」「安定性」という3つのキーワードから、対バイオテロ専用ハンドガンのカスタムベースとしてレオンが選んだのは、工業大国スイスが誇る老舗銃器メーカーSIG社のハンドガン「P226E2」だった。

スイスらしい精巧な造りの「P226」は、かつてアメリカ軍での採用をめぐり、「M92F」と最終選考を競い合っている。そのM92FはS.T.A.R.S.の「サムライ・エッジ」へと進化を遂げた。P226E2はDSOの手でどう進化するのだろうか。

こうして「センチネル・プロジェクト」は、ついに本格的な開発フェーズへと移行したのである。

※ 設定・画像協力:株式会社カプコン

※ この設定はゲーム「バイオハザード」シリーズの世界観をもとにしたフィクションです。実在の人物、団体、事件等とは一切関係ありません。

— 東京マルイ広報に聞く —カスタムベースの候補にあがったハンドガン

「デザートイーグル以外で、サムライ・エッジのように系統化できる新しいモデル」という方向性が決まり、次はベース(土台)となるハンドガンのしぼり込みです。
東京マルイでは、常に様々なハンドガンのカスタムモデルを検討しています。まずはこれらの案の中から「グロック」または「シグP226」をベースとした2案を選び、カプコンさんのご意見をうかがいました。

カスタムのベースになるハンドガンというのは、実はそれほど種類がありません。
「グロック」と「シグP226」の他には、M92Fやガバメント、ガバメントの装弾数を増やしたハイキャパシティ・モデル(当社ハイキャパ5.1等)、デザートイーグルなどがあり、これらは世界的にも人気が高くカスタムパーツが豊富ですね。
ですが、「M92F」はサムライ・エッジのベースガンですし、「デザートイーグル」は今回の候補から外しています。

「ガバメント」と「ハイキャパ」は当社がすでに様々なバリエーション展開をしていますから、せっかくのコラボレーションモデルとしては少しインパクトが足りません。
他にも「XDM-40」や「PX4」「FN5-7」といったモデルがありますが、これらは比較的新しいモデルということもあり、M92Fやガバメントといったメジャーなモデルに比べると知名度という点で疑問符がつきました。

カプコンさんも「シグP226カスタム」を希望していたようで、P226の改良モデルである「P226E2」をベースにするということでOKをいただきました。
「シグP226」という銃は「プロのツール」としてとても完成度が高く、選びぬかれたDSOのエージェント達が持つにふさわしいモデルです。その長所を活かしつつ、「対バイオテロ」を考慮したバイオハザードらしいカスタムを施していくことになります。

● SIG SAUER P226R

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